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東方むかし話『金のおの銀のおの』

 ある日ひとりの魔理沙が川のほとりで斧で木を切っていました。
あるときうっかり手を滑らせて、斧を川に落としてしまいました。
 魔理沙が困り果てているとなんと川から神様が出てきたではありませんか。
神様は金でできた斧を手にして魔理沙に問いかけます。

「お前が落としたのはこの金の斧か?」
「いいや、違うぜ。でもいらないのなら貰ってやってもいい」

 魔理沙が答えると神様は次に銀でできた斧を取りだしました。

「ではこの銀の斧か?」
「いいや、それも違う。貰ってやってもいいけどな」

 三番目に神様は古い鉄の斧を取りだしました。

「ではお前が落としたのはこの銀の斧か?」
「ああ、ボロっちいけど私の宝物だ」

 神様は魔理沙のいろいろな面で正直な態度に感心しました。

「お前は正直者だ。褒美に三つともやろう」



「こんな次第で儲けたわけだが、今さっき落とした鉄の斧と間違えて金の斧を持ってくるなんて川の神様は頭がおかしくなってるのかな」

 魔理沙はこの事を香霖堂で、感謝の気持ちでいっぱいになりながら霊夢に話しました。
霊夢は良いことを聞いたと鉄の斧を持って川に出かけました。

 川に着くなり霊夢は木も切らずに川に斧を投げ入れました。
そして嘘泣きを始めたのです。
 しばらくすると川から神様が、金の斧を携えて表れました。

「お前が落としたのはこの金の斧か?」

 霊夢は答えずに針とお札を取りだしました。




 霖之助は金でできた斧などという、おかしな道具が沈んでいる川には近付きませんでした。


おわり



くりあじ「ssが上手く書けなくてむしゃくしゃしたのでやった。反省はしているが後悔はしてない」
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トラックバック(0)   コメント(0)   2010.11.17    [ Myカテゴリ:東方SS ]

即興でぱーとすりー

はいはい即興即興。
テキストファイルじゃなくてブログの本文を書く所に直書きするほど即興です。
察しがついている方もいらっしゃるかもしれませんが、とりあえず最終回となる今回は阿求のトマト話です。
んじゃ行ってみましょうか。



『トマトを愉しむ ~稗田阿求の場合~』

 上白沢先生とふたりして大量の書籍を運ぶ羽目になったのだが、いざ着いてみるとなんと香霖堂さんは呑気に本を読んでいた。
彼がこちらを見て驚いていたのでこちらが覚え違いをしていたのかと思ってしまったほどだ。
でも自分が何者か考えればそんなことはありえないとすぐにわかってしまう。
香霖堂さんが約束をした日をすっぽかしたということは絶対に間違えようがない。
 とりあえず言い訳を聞いて見ると「今日は暑いから後日取りに行こうと考えていた」だそうだ。
気持ちはわかるが当日の気候で予定を変えるくらいなら始めから細かい日程を決めるべきではない。いい年した大人なら尚更だ。

 自分が思っていたよりも不満そうな態度を取っていたのか、香霖堂さんが差し入れを持って来た。
それを両手で受け取った瞬間、また別の怒りがこみ上げてきた。
おそらく水につけられていたのだろう、ひんやりと冷たかったのだ。
 この男は日陰でのんびり本を読んでいただけではなく、冷やしたこれを食べていたのに間違いない。
か弱い私が日照りの中、額に汗していたときにだ。

 とはいえ、怒りと食欲は別物である。
火照った体は今すぐにこれを食べたいと欲している。
稗田の家であればはしたないと窘められそうだが、ここにはそういう人間はいない。あんぐりと口を開けて齧りつく。いや齧りつこうとした。
 それは私の知っているものより大きく、文字通り歯が立たなかったのである。
こんなものにまで神経を逆なでされているような気がしてきて恨めしげに睨みつけてやる。
そいつは表情ひとつ変えることもない。トマトは表情を変えるものではない。

 苦戦しながらも強引に齧りついてみると、これが何ともおいしい。味だけではなく暑さと乾きを同時に癒してくれる。
私の正しい記憶によればトマトは江戸時代に日本に輸入されたが、当初は観賞用の植物として扱われていたらしい。その真っ赤な色が嫌われたという。
食べられるようになったのは博麗大結界が張られる少し前、つまり阿弥の時代だ。
 では阿弥がトマトを食べていたのかと考えると少々怪しい。
幻想郷は田舎である。だからこそ居場所を追われつつあった妖怪たちが集まったのであり、それは最新の情報や流行が入りにくいことを示す。
長らく観賞用と見られていたものを食べるなどという奇抜な行動は概して広まりにくいものだ。

 阿弥はこの美味なる果実を口にすることなく私へ襷を託したのだ。

 トマトに話を絞るのならば阿七も同様である。
阿七の生きていた時代はちょうどトマトが観賞植物として持ちこまれた時代と重なる。
 それ以前のトマトの存在すら知らなかった時代は別として、このふたりはトマトを知っていた可能性が非常に高い。
しかしこの味を知ることなく逝ったのだ。
おかげで稗田阿求は今、ぷりぷりと怒りながらもトマトを食べることができる。

 こうして考えてみると感慨深いものもなくはないが、それはいずれ私も拾代目にすることだ。
そもそも阿礼の子は言ってしまえば全員同一人物のようなもの、遠慮することはない。
ただトマトを目にしていながら口にすることがなかったというのはさぞ無念だったに違いない。
 なぜなら、後世発見されるであろう美味を阿求が口にすることができないと思うと、私が非常に悔しいからだ。
たとえ同じ魂を持つ存在だとしても阿求は私ひとりである。おいしいものを食べたいと思うのは極々自然な考えのはずだ。

 私がそう考えているのだから阿七・阿弥の両名もそうだったのではないかと思う。
今私ができることでふたりの弔いになりそうなことと言えば、このトマトを愉しむことではないだろうか。
先代までの私たちができなかったことを今代の私ができる限りめいっぱい。それしかないと思う。


 考えているうちにトマトを食べつくしてしまった。
今のは阿求の、労働の対価だ。まだふたりの分までは愉しんでいない。
 香霖堂さんがいつのまにやら姿をくらましてしまっていたが、まさかこのまま私と上白沢先生が帰るまで姿を現さないということはないだろう。
彼が姿を見せたらすぐに、おかわりと言ってやろうと思う。








だいたい二時間? 遅い。
シリアス病の発作が起きたようです。シリアスで滑ると大けがをするといい加減気づくべき。
トラックバック(0)   コメント(0)   2010.08.01    [ Myカテゴリ:東方SS ]

即興でぱーとつー

また何か書きます。だいたい中身は決まってるんですけどね。
前のやつの霖之助バージョンです。
問題は結局まだ蘊蓄が出てきてないこと。書き始めればなんとかなると信じて。
さーて始めますよ。


『トマトを考える ~森近霖之助の場合~』

 不満顔の二人の来訪者に差し入れという名のお詫びの品を差し出す。本当は魔理沙霊夢が来たときのために冷やして置いたものだが、今回は仕方がない。
不満の原因に対しては僕の言い分もあるが立場が立場である。ただで貴重な品を譲り受けたのだからあまり強くは出れない。
それよりも少しでも気を良くしてもらうのが先決だ。
 人がものを食べているのを見ているだけというのもきまりが悪い。しかし差し入れという名目で出しているのだから僕も食べるというのは少々おかしな話だ。
それに加えて差し入れ程度で不満が収まるとも思えなかったので、間を採るために僕は普段ほとんど使わないお勝手へと逃げ出した。

 新しく水を張り直した桶に笊を沈める。笊の中身は二人に提供した分を補充して赤い果実が三つである。
あの子たちがこれの存在を知ったとき、欲しがらないわけがない。思わぬ来訪者で数を減らしてしまったもののまだ数には余裕があった。
 水面に揺らめく赤い果実とは、トマトである。


 トマトはその味のみならず、健康によい食品とされて重宝されている。これは考えてみれば当然のことだ。
大陸の健康法に「薬食同源」というものがある。これは普段から食事に気をつけたり病に罹ったらそれを治すための食事を摂るというものだ。
例を挙げると肝を壊したら肝を食べ、心臓を悪くしたら心臓を食べる。

 ではトマトは何に良いのか? 結論を言ってしまえば人体全てである。
五行で考えてみよう。その果実は相当量の水気を含み、その色は燃える火の如く赤く、植物であるが故に当然成長し、その内には次代の種子を有する。
持たないのは金行のみだ。
 人間は一応全ての属性を持ってはいるが明らかに金行が弱い。
成長、育成はもちろん、熱を作ることもできる。水を作りだすことはできないが命の泉という面で考えるのなら世代交代をする以上水行が弱いとは言えないだろう。
しかし人間は体内で金属を作ることはできないのだ。

 またトマトの形状についても考える。
トマトは柔らかい皮の内にさらに柔らかいものがある。人間でいうなら皮膚と臓器だ。
 一般的な収穫をされたあとのトマトはつるりとした中にヘタのみが青々としている。
人間は動物の中ではかなり体毛が薄い生物だ。しかしその頭頂部には未だに髪が残されている。

 先ほどトマトの色が赤いことに触れたが動物にとってもっとなじみ深い赤色がある。そう、血だ。
赤い液体というのは自然界を見渡してみてもそう多くはない。
しかし血とトマトのしぼり汁ならそれこそ子供でも入手は容易だ。
外の世界の創作物の中にはその赤い液体という類似点から吸血鬼が好んでトマトジュースを飲むというものもあるという。

 これほど似通った性質を持つものを食べて、体に良くない訳がない。


 そろそろ二人がトマトを食べ終わったころだろうか。
家主として客を放っおくのは良くない。
手間をかけさせた礼と詫びのひとつも言わねばならないだろう。

 霖之助はついついつまみ食いをしてしまったトマトを補充し直してからお勝手を後にした。







今回はちゃんと時間計ってました。三時間弱です。こじつけに手間取りました。
霖之助の蘊蓄の醍醐味のひとつに「出発点と終着点は現代社会と似通っている」というものがあると思っています。
再現とまでは行かなくてもニュアンスだけでも伝わってたらすごくうれしいです。

慧音編と比べてちょっと長くなっちゃったなー。こういうのは同じくらいの長さでやるもんでしょうに。
これもひとえに私の力量不足。

この『トマト』。もう一編書くつもりです。
その一編を加えた三編と連休中に書き終わる予定(笑)だった作品をリンクさせる予定です。
リンクというよりエピローグですが。
状況が異常にわかりづらいのはそのためです。誠に申し訳ありません。
全部書き終わったら慧音編も霖之助編も清書して上げ直そうと思います。



短いの書くのってたんのすぃー。





霖之助編に対するひとりごと
トマトに金行がない? 金がないなら人間っつーより霖之助じゃね?
そしてトマトの形状の条件が人間そのものよりも男女問わず性器の方が合ってるっぽい件について。
トラックバック(0)   コメント(0)   2010.06.11    [ Myカテゴリ:東方SS ]

即興で

適当に何かssっぽいの書こうと思います。現時点では「誰かが作中で何かを食べる」ということしか考えてません。
はい、よーいスタート。


『トマトを食べる ~上白沢慧音の場合~』

 額を拭う。かなりの量だったとはいえ、荷を届けただけだというのに大量の汗が吹き出ていた。
ここのところ体を動かす機会が少なかったせいか体がなまってしまっているようだ。
 出来ることならこのままへたり込んでしまいたいがそうもいかない。帰りは手ぶらでいいのが救いだ。
それでも、今日の強い日差しの中にこのまま戻るのは少し億劫だ。
いかに楽をして復路を行くか考えていると、届け物の受け取り主である森近さんから差し入れを頂いた。トマトだ。

 丸ごと供されたそれに軽く触れる。水にでも浸けられていたのかひんやりとして心地よい。
一目見て普段見るものと比べるとかなり大きいことに気付く。聞けばここらで作られたものではないらしい、ということは外の物だ。
それはそれで鮮度が心配になるが、鼻孔をくすぐる香りと指先から伝わる張りが、“採れたて”と称してなんら問題もないと主張している。

 外のトマトなど初めてだがあまりまじまじと見ていても仕方ない。形が良すぎるのが若干気になるが、齧る。
甘い。まずその一単語が脳内を駆ける。
幻想郷で採れるものと比べるまでもないほどに甘い。比べるとしたらもはや果実と比べるべきだ。
 遅れて中の、種子近辺の水気の多いトロトロとした部分のおいしさに驚く。
収穫にはまだ早い時期のはずなのに十二分においしい。もちろん甘さを感じたのはここである。
少々不躾なのを承知でじゅるじゅると啜る。啜ることでトマトの香りが口の中から鼻まで抜ける。嫌な臭さのない、草の香りだ。
 そのおいしい所が外見の大きさに比例して多い。いや、皮の占める割合と比べて多い。
普段食べているものと比べて皮の厚みは同じくらいなのに、中身は五割ほど増しのようだった。

 しかしどれほどおいしくても、どれほど大きくても所詮はひとつのトマト。すぐに食べ終わってしまった。
口腔に残る余韻を惜しんでいると、いつの間にか体の火照りと疲労が無くなっていることに気がついた。トマトの冷たさと甘みが影響したのだろう。
 おかげで帰りで苦労することはなさそうだと、慧音は共に届け物を持ってきた阿求がおかわりを要求しているのを微笑ましく見守りながら考えていた。







はい開始時間を見るのを忘れてました。だいたい一時間くらいかな? 遅い。
食事を書くのって難しいですね。読んでるだけで生唾が出てくるようなものを書けるようになりたいです。
なぜトマトをチョイスしたのかは機会があれば。
最初霖之助が食べる話にしようと思ったけど蘊蓄が思い浮かばなかったので変更。浮かんだら書こう。

もし同行者がおかわりに成功したら間違いなく慧音もおかわりします。というより内心成功するように応援してると思います。
トラックバック(0)   コメント(0)   2010.05.30    [ Myカテゴリ:東方SS ]

本命の不自然な渡し方

 ぐいとそれは上白沢慧音から押しつけられた。
小さく、しかし丁寧に梱包されたそれは本人曰くチョコレートだという。
こうして森近霖之助は義理チョコをまたひとつ獲得した。



 香霖堂は相当に寂れた店である。幻想郷縁起に記載されるなど、知名度はそれなりにあるはずなのだが客が寄り付かない。
しかし常連客がいないわけではない。その中には女性客もいる。
そして昨日は二月の十四日であり、所謂バレンタインデーであった。
 はっきりと「義理ですから」と言う者もいれば「本命だぜ」と冗談めかして渡してくる者もおり、香霖堂にしては久しぶりに実に騒がしい一日であった。
こういう物はそのイベント当日に渡すことに意味がある。
普段の感謝を伝えるだけの義理チョコを渡すだけなのにわざわざ御苦労なことだ。三月の十四日がなければもっとありがたく思えたに違いない。

 内心ぼやきながら霖之助はチョコレートを一口、パキリと齧った。
 一般的な成人男性の好みを配慮してか、かなり強めに苦みを感じるほど甘さを抑え、カカオを前面に押し出してきている。気配りのできる少女がからもらったものだ、最初に食べた只管甘かったものとは大違いである。
しかし甘いのも恐らく食べた者――僕のことだ、もちろん――が義理とはいえ、それなりの数をもらうことを見越しての作戦なのだろう。
少しでも印象に残ってやれ、魔理沙はそういうことを考える子だ。

 手作りチョコひとつとってみても作り手のことが推察できる、これは愉快であると同時に脅威でもある。
僕は古道具屋だ。完全な状態の商品を仕入れることができるわけではない。
欠陥があるだけでなく、ときには原型を留めていないものも仕入れる。もちろんその後には修繕、修復作業が待っている。
 その作業に僕の人格が影響しないと考えられるほど能天気ではない。
細かい欠陥があればずぼらな人間と思われる、大きな欠陥があれば詐欺師かうっかり者だ。
逆に丁寧な仕事であれば少しは信頼を得られる。
そうした小さな信頼を積み重ねていけば、ゆくゆくは常連客として香霖堂大繁盛の礎となってくれる。

 これまで手を抜いた覚えはないがこれからはそれだけでなく、使用者にとってのベストを想定する必要があるだろう。


 カランカラン。
 霖之助が決意を新たにしたところで申し訳なさそうにカウベルが声を上げる。
魔理沙や霊夢ではこういう音は出ない。
 すわ客かとドアを注視するとそこには、里を守る歴史家が立っていた。

 ひと月に一度ほどの頻度でふらりと訪れ、何かあれば買い、何もなければ適当に喋って帰るという客に数えてもいい人物である。
最も頻繁に訪れる常連からは現金で対価を貰える可能性が著しく低いので、たまに買っていってくれれば十分上客と言える。
しかしながらふたりは現金では得ることのできない対価をもたらしてくれることが多いので何も文句は言うつもりもない。

「いらっしゃいませ。今日は何か御用ですか」

 ごく普通に声をかけたつもりなのだが反応がない。
しかし目はこちらを向いているので聞こえていないわけではないだろう。
冷やかしに来たと考えるのが妥当だ。

 入口に立ったまま動かない慧音をよそに、霖之助は椅子の背もたれに身を預けたままチョコレートの続きを齧る。
パキンッ――
 小気味よい音だ。

「チョコレートを食べたときの話だけど」

 あまりに動かない客に問いかける。
最初から冷やかしだけが目的で店に来るのが後ろめたいのもわかるが、店主としては客が棒立ちになっている様を見るのは居心地が悪い。

「表現としては歯で割ると言った方が良いのか、齧ると言った方が良いのか、半白沢の意見をお聞かせ願えないだろうか」

 我ながら興味が持てない話題提起だ。チョコレートを食べる、で全て解決してしまう。
日本語は細かいくせに大雑把なのである。
 そんなどうでもいい話題なので、彼女の見解は適当に聞き流した。

「ああそうだ、昨日はバレンタインデーでしたね。通りでチョコレートを食べているわけです」
「頂きものだから悪くしてしまうのも気が引けてね、なかなか個性が出ていて面白いよ。作るときによっぽど慌てていたのか髪の毛が混じっていたものもあった」

 これが事実なのだから驚きだ。幸いにして割ったところから見えたので口に入る前に取り除けた。
歴史家は何事か言いたそうにしていたので問いただしたが、やっぱり何でもないだそうだ。


「そういえばバレンタインということでですね。私もチョコレートを配ったんです。そうしたら多く作ってしまったようで少しあまってしまいまして、
 よろしければどうかと訪ねさせていただいたのですが……今あるのを食べるだけで大変でしょうか?」
「大変なのは事実だけど、乗りかかった船だ。いまさらひとつ増えたくらいでは泣きごとは言わないよ」
「そうですか」

 顔色が良くなる。
毒を食らわばなんとやらを例えに引き出さなかったのは正解だったようだ。
さすがに毒はまずい。咄嗟に毒を食らわば~~~の方が浮かぶのはまずい。


 では、と半ば押しつけるように差し出されたチョコレートは本人の懸念とはほとんど関係がない代物だった。
何せ極端に小さいのである。指先ほどの大きさだ。つまむという表現を使うことができてしまう。

 どう反応したらよいものかとほんのわずかな時間考えていると慧音はその隙に用事があるのでこれで、とそそくさと出て行ってしまった。
精神的に置いてけぼりを食らった僕を呼び戻したのはほとんど間を置かず鳴ったカウベルだった。

「おやおや、中腰で静止ですか。今しがたの上白沢さんといい、もしや私は気まずい空気に颯爽と現れた天使ですか?」

 稗田の玖代目だった。
なんか邪推されていそうだった。
 慌てて状況をかいつまんで説明すると冷めた声で、本気でそんなこと思ってるわけないじゃないですかと言われた。

「しかし指先ほどのチョコ……。失礼ですが見せてもらっても?」

 黙ったまま先ほど受け取ったばかりのそれを差し出す。
阿求はしげしげと見つめ、しかし手には取らずにもう結構と答えた。

「今日は用事があったのですが、用事ついでにバレンタインについての面白い話をしましょう。すごく短いですよ。
 ある美人教師がチョコレートを配っているらしいという噂を聞きつけ、美人教師の元にモテない男たちが集まりました。
 しかし生徒たちの分と別に余分を少し作っていただけだったのですぐに配りきってしまい、足りなくなりました。
 それがなぜか次の日、チョコレートが余ったのでと流行らない古道具屋にわざわざ持ってきていました。
 はてさて、これは一体どうしたことか。
 終わりです。短かったでしょ?
 それと、ラッピングを見ればわかりますがそれ、そんなに小さいのにハート型ですよ。そのサイズの型なんて私は見たことがありません。
 特注か自家製の型で作ったことは私が保証しましょう」

 すらすらと澱みなく言いきると勝手に椅子に腰かける。
彼女は香霖堂には数えるほどしか来ていないのだが、どれが客が自由に座っていい椅子なのか覚えているのだろう。

 話の内容は単純だ。慧音のことを言っているに違いない。
 手作りチョコひとつとっても作り手が表れる。
ならばあるはずのないこの小さいチョコレートが意味しているものは……。

「あー、もしもーし。店主さーん」

 思考に入る直前に声がかけられた。
そういえば阿求は用事があると言っていた。そちらを片づけてからでも良いだろう。
 普段通りの声色が出るように努める。

「今日はどんな御用でしょうか」
「チョコレートを渡しにきました。食べきれないとか言わないで下さいよ? 毒を食らわばなんとやらと言いますからね」





「そんなに驚かないでいいじゃあないですかもう。お見合い制度が崩壊しつつある昨今、私のお婿さん探しも難航が予想されているんですよ。
 数打ちゃ当たる、です。それも本命、あれも本命。もちろんこれも本命です。
 いよっ、幼女キラー」

 少なくとも包装の段階では何ら特徴のないものが机に置かれる。
そんな前置きでもらったものに何の感慨もあるはずがない。

「ああ、わかった。ところでわざわざ面白い話をする必要があったのかい? なんと言うか、悪意を感じる」
「せめてありがとうくらい言いましょうよ。まあいいです。そうですね……。恐らくたくさんもらうであろう人に意外性で勝負しようと思ったら、先客のくだらない理由で粉砕されたことに対する仕返しですか」

 何ともひどい理由だった。
まるで子供だ。
いや、子供だ。

「年嵩に感じるとか言ったらさすがの私でも怒りますからね。さってと、次の本命チョコを渡しに行かなければならないのでそろそろお暇します。ごきげんよう」

 ぺこりと小さな体を折り曲げて、とてとてとドアに向かう。和服が若干大きいようだ。

「次で何個目の本命なんだい?」

 ため息交じりの質問に答えず、ドアから出ていく……が、ドアを閉める直前に首だけを店内に戻す。

「何を言ってるんです? 本命はひとつに決まってるじゃないですか」

 ちろりと小さく舌を突き出して、ドアが完全に閉まった。



 短時間に二度も置いてけぼりをくらった霖之助は、手にした小さなものと机の至って平凡なものを交互に見た。





トラックバック(0)   コメント(0)   2010.02.15    [ Myカテゴリ:東方SS ]
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